山形鶴翔同窓会総会
会長挨拶
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 山形鶴翔同窓会第24回の総会と懇親会がこのように大勢の皆様にご出席をいただいて開かれますことに厚くお礼申し上げます。
 いま全国的な規模で高校の必須科目の履修漏れが問題になっており、その渦中にあって大変にお忙しい中、母校からは久保英吉教頭先生、また同窓会本部からは石黒慶一会長さんと渡部眞二事務局次長さんにご出席を賜りありがとうございます。
 また校舎が隣同士にあって、いつもよき友達であり、よきライバルでもあります鶴岡工業高校城畔同窓会の山形支部からは小野寺昇支部長さんと顧問の原田昇前支部長さんを来賓としてお迎えすることが出来ました。ありがとうございます。
 さて季節は晩秋の気配になってきましたが、秋は文化の季節でもあります。今年の文化の日は私ども鶴翔同窓会としては大変に誇りに思う日でありました。それは先輩の作家の丸谷才一さんが今年度の文化功労者として顕彰されたことです。きょうの新聞では丸谷さんは鶴岡に帰られてきのう文化講演会に臨まれたとの報道でした。
 昭和60年にはやはり同窓会の先輩、“ドイツ語辞典”で知られたドイツ語学者でありドイツ文学者でもある相良守峯先生が文化勲章を受章されています。
 文化勲章は日本の学術・芸術・文化に偉大な貢献をした方々に贈られるものでその文化勲章の制度は昭和12年に制定されています。 文化勲章の受章者は基本的には文化功労者の中から選ばれるということです。文化功労者はこれまでに680人で、このうち文化勲章受328人です。
 山形県出身者で文化勲章の受章者と文化功労者は11人、複数の受賞者を出している学校は、わが鶴岡南高校と米沢興譲館の2校だけです。米沢興譲館からは、“我妻民法”で知られた法律学者の我妻栄博士が文化勲章、哲学者の高橋里美博士が文化功労者に選ばれています。
 母校は2年後に120周年を迎えますが、18年前の百周年記念事業の時に同窓会本部にお願いして記念番組「英知の殿堂 鶴岡南高校」と題したテレビ番組を制作させてもらいました。その時に先輩の丸谷才一さんに母校の思い出と後輩への助言をインタビューしました。丸谷さんは「テレビの取材は一切受けない」とされていますが、この時は「母校の番組ならばやむを得ない」と取材に応じてくださいました。
 丸谷さんのお話は「昭和18年に卒業し東京の予備校に通っている時に、当時の鶴岡中学の校長が全校生徒を集めて次のように話したというのです。『この決戦の時になっても、丸谷はいまなお文科系に行こうとしている。こういう態度は非国民とか国賊』と校長先生が言ったとの話を聞いたというのです。それで、丸谷さんはそういう学校の校長の意向に逆らったから現在の自分があるのですと話してくれました。そして後輩に対しては、第一に本を読むということ。いい本を読んで著者の思考をなぞって考えていくことで、考えるすべを学び、深く感じるすべを学びなさい。それから、もし自分が本当に信じた道であるならば校長がたとえ何と言おうと先生が何を言おうと、そんなものは無視して自分の志望を貫き、信じた道を進むことです」と自らの人生をもとにした後輩への直言でした。
 山形鶴翔同窓会総会の開会にあたり、丸谷才一先輩の後輩に対するメッセージを紹介してあいさつに代えさせていただきます。


平成18年11月16日
山形鶴翔同窓会会長
□庄司英樹□
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