山形鶴翔同窓会総会
会長挨拶
----------------
 山形鶴翔同窓会の総会と懇親会が皆様のご出席を得て開かれましたこと感謝申し上げます。
 お忙しい中を来賓として母校から松浦校長先生、鶴翔同窓会本部から中村副会長、鶴岡工業城畔同窓会山形支部から小野寺副支部長と齋藤幹事長にご出席を賜りありがとうございます。
 さて、世の中は大きな変化の連続です。今年もあと50日で終わりますが、今年の朝日新聞元旦号の新春対談で私どもの大先輩である作家の丸谷才一さんが、音楽評論家の吉田秀和さんと新春対談をしていました。対談で到達した結論は「希望は女性にあり」というものでした。 図書館に行って新聞を読み直し、また対談の根底になっていた「源氏物語 千年紀」にちなんで丸谷先輩が講演された内容が文学界に掲載されていたので、みなさんに間違いないように紹介させていただきます。
 ちょうど10年前の1999年にイギリスのオックスフォード大学とケンブリッジ大学の歴史学者15人がミレニアムを記念して、この千年の間で偉大な業績を残した歴史上の人物30人を選びました。その中に、日本からただ一人紫式部が選ばれました。その評価は「彼女の源氏物語は日本文学の最高傑作で、間違いなく世界最初の小説」ということでした。  新春対談で丸谷大先輩は「日本では3000年前は、母親が家族の長であり、社会の指導者であり、偉大な女神であった文化があった。これが源氏物語の成立に役立っている。その後、母権制が力を失い、父権制社会に移った。しかし母権制的なものは俳句、短歌など現代日本に母権制の趣味が残っている。近頃は男女同権、女子高等教育の普及、女性の企業への進出、性の自由化による戒律の衰退などによってぐんぐん父権制的性格を薄れさせ、母権制的になってきた。
源氏物語が千年もの間広く読まれる背景として人類文化そのものが母権的な時代に変わろうとする兆候ではないか。日本にはいま不況という暗く冷たい空気が居座っているが、こうした時にどこかに希望はないものだろうかと考えをめぐらした結果、新しい領域を描き、時代を変える力として『希望は女性にあり』という結論に達した。歴史的展望も含めた趨勢として政治の世界にも時代を変える女性の力に期待する」とこのように述べておられました。
以上が丸谷先輩の「希望は女性にあり」の要旨です。会員の中には、丸谷先輩の話を待つまでもなく「我が家はとっくに母権社会になっている」という方も多いかもしれません。
 それは別として「時代を変える力として女性」というキーワードでこの一年をみますと、1月に山形県に女性知事が誕生しました。8月の総選挙でも女性議員が過去最多の54名誕生しています。良いか悪いかの評価はまた別問題です。また国際スポーツでも女性の活躍が目立ちました。
 わが母校の在校生も3年前から男女の比率が逆転して女子生徒が多くなったとお聞きしています。これからの時代を変える大きな原動力となる素晴らしい女性を輩出する基盤がわが母校にも出来たと考えます。同窓の女性、後輩が数多く活躍することを期待するものです。きょうは女性の方の出席がやや少ないのですが、女王蜂が多いと働き蜂の男性群の出席も多くなります。これからは女性会員をぜひ誘い合って出席をしていただき、時代を変える山形鶴翔同窓会でありたいと存じます。
 次に、前回の総会で申し上げました鶴岡工業城畔同窓会山形支部と鶴岡女学校・鶴岡北高校の如松同窓会山形支部の三者合同のイベントの実施についてご報告します。  城畔会と如松会の山形支部に初めての試みとして「10月に河原で芋煮会」の提案をしました。城畔会からは早速に賛同を得ました。如松会は「山形支部結成60周年という記念すべき年で、やはり10月に会津福島旅行」を企画しているので残念ながら今回は参加できないとのことでした。合同芋煮会のお知らせはホームページで告知し、あとは役員の間でEメールアドレスを知っている方々にメールして参加を呼びかけました。
10月4日の日曜日、鶴翔会から9名、城畔会から8人の出席を得て芋煮会日和に恵まれた秋の一日を、城畔会のみなさんと和やかに交流を深めました。城畔会にはご協力をいただいたことに改めて御礼申し上げます。当日の模様はホームページにアップロードしていますのでご覧ください。
 最後に2年前のことですが、母校の 120周年記念式典の記念講演をここで紹介させていただきます。「宇宙開発と宇宙への夢」と題して記念講演をされたのは昭和43年・75回卒業で、日本航空宇宙工業会の技術部長の堀井茂勝さんです。  堀井さんの記念講演の要旨は「宇宙は 137億年前にビッグバーンで誕生しました。地球は太陽から3番目の惑星で、このようにわれわれ生命体が生息しています。もしも地球が太陽から距離が10%近ければ地球は焦土・焼け野原であり、逆に10%距離が離れていたら地球は凍土・ツンドラであったでしょう。
 「宇宙から見れば人間は非常に小さい存在で、人間の細胞をつくるのはミクロンの世界です。一方、原子の世界から見れば人間は宇宙にも匹敵する大きな存在です。人間は存在すること自体が奇跡です。貴重な一瞬をやりがいのあることを見つけて充実して生きていきましょう」以上が堀井茂勝さんの講演の要旨です。 このお話は在校生だけでなく、私ども同窓生にも呼びかけられたものです。同窓生の堀井茂勝さんがお話された素晴らしい記念講演を紹介して挨拶に代えさせていただきます。


平成21年11月12日
山形鶴翔同窓会会長
□庄司英樹□
▲もどる