第31回 山形鶴翔同窓会総会 柴田曜子校長 自己紹介と近況報告

《自己紹介》
 皆さんこんばんは。この春、鶴岡南高校に校長として赴任してまいりました柴田曜子と申します。どうぞよろしくお願い致します。講話と言う程中身の話は出来ませんので自己紹介と最近の鶴岡南高校の生徒たちの活躍ぶりをご紹介させて頂きます。
 私は先ほど新庄という話がありましたが父が新庄の出身で母は酒田の余目よりの新堀というところの出身です。今のJR、国鉄に父が勤務しており転勤が多く私は青森県の弘前で生まれました。その後、新庄に小学生1年から3年生までを過ごしましたがその後は秋田で育ちました。
 高校卒業までを秋田で過ごしたのでスポーツに対する考え等は秋田の文化を受け継いでおります。高校は秋田高校を卒業し大学が山形です。ここで4年間を過ごし、教員として山形で採用して頂きました。新任から8年間遊佐高校に在籍し、その後酒田商業、松山里仁館、酒田西高を経て、平成16年から鶴岡南高校の通信科の教頭を3年間勤めさせて頂きました。その後、遊佐高校に戻り、2年間、教頭として在籍しました。
 その後、県警本部の出向になり、少年課に2年間、在籍しました。教員と県警の人事交流の場はこの少年課だけということで非常に貴重な体験をしたと思っています。以前は警察学校の副校長というポジションだったようですが、平成15年、16年あたりに少年非行の第3のピークがあり県警と教育委員会の窓口が必要と言う事で県警本部の少年課の中に調査官という役職名で教頭級の職員が配置されると言う事になりました。そこで2年間在職しその後、霞城セントラルにある霞城学園高校という通信制の高校の校長を2年間勤め、この春鶴岡南高校に赴任となりました。
 専門は英語ですが、どちらかと言うと理系と言うか物事を理屈だてて考えることが好きで暗記するのが苦手で、高校時代は英語よりも他の科目が好きという生徒でした。
《近況報告》
 まづ、着任して感じた事は昨年SSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定されたと言う事もあり学校に非常に勢いがありました。
 昨年度、東北大会に文化部と運動部合わせて出場した生徒の数が600人中、1/3の200人近くに登り、且つ全国大会に出場したのはその内100名近くに及んでいます。また当時に活躍した3年生の進学時の成績が5クラスになって初めて国公立への進学者数147名を記録しました。これはかなり高い数字のようで、週刊朝日が全国の高校の在籍者が国公立大学への進学する割合を調査したという記事では全国で6番という結果でした。
 これは必ずしも全国でダントツの進学校が上位になると言う訳ではなく、国公立への進学率が高い学校と言う事で、一番は確か長崎の高校だったと記憶しています。それだけバランスよく色々な教科をしっかりと教えて生徒たちを育てていることの表れだろうと思っています。
 このように、昨年の3年生は素晴らしかった中で、今年はどうか・・・と危惧する部分もありましたが、今年も模試の結果は昨年度と殆ど変わらず遜色ない好結果を得ているとの事でした。県内では2番目、山東の次ではありますが鶴南はどちらかと言うと理数系が牽引しているということです。理数科が1クラス、さらに理数系クラスが2クラス、文系クラスが2クラスなので理数系の方が多いと言う事で、数学の得点率が高いと言う結果のようでした。山形県は全体として数学があまり良くないのですが鶴南の場合は数学が好いという結果でした。
 今年の3年生も活躍しております。6月の鶴工との定期戦ではサッカーも野球も勝利しましたし且つ、職員のサッカーも試合するのですがこれでも勝利、三戦全勝という事でした。夏の高校野球も好いところまで行き、頑張ったと思っていますが、後の新人戦では1次予選を羽黒工業に勝ち突破しています。庄内地区の決勝では酒田南と対戦しますがこれもどこまでやれるか楽しみにしています。吹奏楽のほうは東北大会まで進み山形県ではトップの金賞を頂きましたが、福島の学校が強く、全国への壁はかなり厚いとの事です。
 インターハイでは水泳が個人とリレーで、アーチェリーと弓道が個人で参加しています。水泳は個人で200m背泳ぎに出場し優勝しています。インターハイ優勝の例は近年にない素晴らしい快挙です。また同じ生徒ですが、ジュニアオリンピックで高校2年までの水泳で、背泳・200m、100mで優勝し2冠を制しています。この後、高校総体でも結果を出すでしょうからその結果を待って、県の教育長に表敬訪問し結果報告の予定です。
 文化の方でも慶応大学の先端生命科学研究所が全国規模で主催するバイオサミットの研究発表において本校から4人が受賞しています。現在、SSHで取り組んでいる研究の他にも先端研に通って研究に取り組む生徒もおり、研究したり調べたりする探求的な学びが出来ると更に興味が深まり自ら進んで学ぶ様になると感じています。
 鶴南ゼミを通して学校として取り組もうとしている事は、生徒の学びを探究的なものにすると言う事です。 センターテストや共通一次テストが導入されて以来、学ぶ過程で、どの程度理解すればどれ位の点数が取れて、どのレベルの大学に行けるかが見えるようになりました。つまり、この大学を希望するならここまでの知識を入れないといけないとなり、授業の内容が変わってきた様に思います。そして目標がそこになってしまうとその先の興味とか、より高い所への探究心が削がれるしまうのではないか、更には授業がつまらなくなっているのではないかと懸念しているところです。
 前任の田中先生も科学のほうで探求的な学びを導入し、SSHを引き受けた訳ですが、これは非常に重要な事だと感じており、自分でテーマを決めて自分で調べていく本当の学ぶという精神を高校時代に身につけて欲しいと思っています。自分で疑問を持って学ぶと言うことは非常に面白いのではないかと思います。
 学校の教師というのは教えるということが好きで授業を聞いていると8割り方、教師がしゃべっています。先生方にお願いしてるのは残り2割のなかに質問の時間を作り、答えを言う前に生徒に聞いてみる様にお願いをしています。それがどの程度、授業の中で出来ているか、どうしても教え込む傾向にあります。それでは山東には勝てないなと思っています。
 なぜそうした感想を持ったかと言うと、霞城学園にいた時に高文連の科学部の専門部長をしていました。科学の甲子園というのがあり山形県大会を主催しているのですが予選のペーパーテストを勝ち抜いてくるのが殆どが山東と興譲館でした。鶴南が参加していたのかは把握していませんが昨年度に関しては予選を突破しているのはその2校で、6チーム中4チームが山東で優勝も山東でした。
 そこでこの生徒たちは何が違うのかと観てみると、チーム戦は話し合いながら実験方法なども自分たちで見つけていくような中身なので、話し合いながら課題を解決して行く力が重要です。今後はこうした能力が絶対に必要で、これが出来ないととても勝てないなという思いを強くしたところでした。鶴南もせっかくSHHに指定されたのでこのチャンスの間に、自ら学び、自ら調べ、研究する楽しさを、文系、理系を問わず、全ての生徒たちに見つけて欲しいなと思っています。
 
  鶴岡南高校校長 柴田 曜子